◆植物療法フィトセラピー
◆ハーブ療法&植物療法
ハーブを活用する癒しのことを「ハーブセラピー(薬草療法)」といいます。
また、植物を活用するセラピーを「フィトセラピー(植物療法)」といいます。
西洋では俗に「魔女」といわれていた人々が、自然の、植物の癒しの力を用いて病み手をサポートしていました。
一見、怪しげに考えられている魔女は、実は自然の力をうまく取り入れる智慧をもった人といえます。
西洋だけではなく、世界各地には、植物を総合的に用いる癒しの体系がありました。
近代に入り、薬草の中にある様々な有効成分の内、強く効き目のある成分のみを取り出す技術が開発されました。また、薬用成分を人工的に合成する技術も大きく進み、現在、私たちががお世話になっている合成医薬品(新薬)が誕生しました。
医薬品のもつ、ある疾病に対する的確な効果は目を見張るものがあります。
その反面、あまりに鋭すぎるその効果が、副作用や薬害という問題も引き起こしているようにも思われます。
鋭い医薬品と異なり、生きものである植物は多種多様な有効成分を含んでいます。
そのため、使い方によっては、それぞれの成分が非常にバランスよく働きます。
そして、特定の疾病や患部だけではなく、一つのシステムである人、全体に働きます。
これは、中国医学やアユルヴァーダ、ユナニなどの伝統医学がもっている思想と一致しています。
自然は、多様な個性が集まり、それらがお互いに関わり合い、集まり(システム)を創り上げています。
癒し(Heal)は 全体(Whole)に繋がることといえます。
このように自然の豊かな贈り物を癒しという形で活用することが、植物療法(フィトセラピー)といえます。
その意味では、アロマセラピー(芳香療法)やフラワーレメディーも植物療法に含まれるでしょう。
◆プライマリー・ヘルス・ケア
日本の医療水準は世界でもトップレベルに達し、世界一の長寿社会を生み出しました。
しかし、その一方で、生活習慣病などの慢性疾患が増加し、医療財源に大きな影響を与えています。
また年々少子化が進行して労働力人口が頭打ちとなり、保険制度を支える社会基盤が大きく揺らいでいます。
これらの対策の1つとして、私たち一人一人が自己責任の意識で健康管理に高い関心を持ち、医者やセラピストなどと適切な共同・協力関係を築きながら、健康の維持・増進、病気の予防・治療にあたることを「セルフ・メディケーションSelf Medication」といいます。
この考え方は先進国、発展途上国を問わず、世界の医療の大きな潮流となっています。
セルフ・メディケーションにおいて、ハーブはどのように活用できるのでしょうか。
その活用範囲と限界を見極めることは難しいことです。
それはハーブを用いる方の知識と経験、そして信念に依存するからです。
いつもの食事の多くは、穀物や野菜など植物で成り立っています。
穀物や野菜など食材の力を上手に引き出すことができれば、これも一種の植物療法といえます。
もちろん、いつもの食事にハーブを意識的に用いることもできます。
また、ハーブの中の大切な成分だけではなく、ハーブティーそのものをゆっくりと楽しむこと、ハーブ・チンキを時間をかけて作ることなどで、リラクゼーション効果を得ることもできます。
工夫一つで、ハーブの活用は相乗効果が期待できます。
このような日常生活の中で、より調和的な健康を目指すことを、「プライマリー・ヘルス・ケア(PHC)」といいます。
ここでは、あくまで「治療(Cure)」よりも「予防(Care)」に重点を置いています。
ハーブと一言でいっても、ハーブを利用する方の状況・環境によって、様々なバリエーションがあります。
生活を彩るオシャレなハーブから、心身の状況に合わせたメディカル・ハーブまで、様々なアレンジが可能です。
どのようなアレンジであっても、ハーブは根源的な癒しの力を持っています。
その力を引き出すのがハーバリスト(ハーブセラピスト)の仕事です。
日々ハーブを用いて様々な応用をしていくと、プライマリー・ヘルス・ケアの力が付いていきます。
ハーバリストやフィトセラピストは、自然界からの恵みである植物そのものについて精通し、それを取り入れる方(クライアント)について深い洞察でもって状況を把握します。
ハーバリストの使命とは、自然と人とをマッチングさせる「仲取り持ちの役」といえます。
まずは、自然に関心をもち、ハーブを日常的に用いることで、ハーバリストの道がはじまります。